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総務省のタスクフォースによるテレワークに対する熱い思い、ポストコロナの働き方「日本型テレワーク」の実現に必要なことを考える

 総務省は2021年(今年)8月11日、新型コロナウイルス感染症(COVIDー19)の収束後(ポストコロナ)のテレワークの在り方に関する提言書「ポストコロナの働き方『日本型テレワーク』の実現~個人・企業・社会全体のウェルビーイングを目指して~」(以下、提言書)を公開しました。

https://www.soumu.go.jp/main_content/000763090.pdf

 提言書は、「ポストコロナ」時代におけるテレワークの在り方検討タスクフォース(以下、タスクフォース)によって取りまとめられました。タスクフォースは、今年4月30日から7月12日まで計5回の会合がオンラインで実施され、会合では、テレワークの実施状況、ポストコロナに向け目指すべき日本型テレワーク、コロナ下でのテレワークの課題、テレワーク普及における課題、テレワークマネージャー制度およびテレワークツールなど、数多くのテーマで議論されました。

https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/post-corona_digital/index.html

 提言書では、タスクフォースが検討してきた事項を以下5つにまとめています。

(1)目指すべき「日本型テレワーク」の在り方

(2)テレワークの導入・定着に向けた ICT の活用

(3)企業・団体の内発的取組を促すための仕組み

(4)既存のテレワーク関連施策の見直し

(5)その他

  a.総務省自身におけるテレワークに向けた取組

  b.在宅勤務手当に関する調査

  c.育児・介護・治療との両立

 そのうえで提言書では、ポストコロナを見据えて日本が目指すべきテレワークの在り方を再整理し、定着に向けて国や企業が取り組むべき事項を幅広く検討した結果が示されています。

 タスクフォースは、提言書の中で、新型コロナウイルス感染症の拡大対応策としてテレワークが過去にない規模で導入されたが、経営者の視点では、テレワークを社会的要請に基づくコロナ下の緊急時の対応(出勤抑制の手段)としてやむを得ず取り組むものと捉えている傾向が見られる、と指摘しています。

 また、中高年の管理職の間には、同じ場所と時間を共有する大部屋主義や、対面主義、暗黙知等の利点を過度に意識し、テレワークへの不信感(バイアス)が根強く残っているとの指摘もあります。また、昨年度の緊急事態宣言を受け、十分な準備や移行期間がないままにテレワークを導入した結果として、生産性が低下していると感じる労働者も多く、このことはテレワークの課題として挙げられると指摘しています。

 そのうえで、タスクフォースは、新型コロナウイルスのワクチン接種が進むにつれ、企業の明確な意思決定がないまま、なし崩し的に出社が増え、これまで同様、テレワークが定着しない可能性が非常に高いのではないかと危惧しています。

 タスクフォースは、こうした日本特有の課題を認識し、ポストコロナで目指すべき「日本型テレワーク」は、以下5つの項目で定義しています。

1. 日本の様々な社会課題の解決に寄与

・急速な少子高齢化、生産年齢人口の減少等の課題に対応

・時間あたり生産性の向上

2. テレワークを契機とした ICT ツールの積極的な活用、BPR、DXの推進

・情報を共有しているという感覚や一体感の醸成、インフォーマルなコミュニケーションを促進する場をバーチャルに補完

・日本型の働き方の「強み」をより活かす

・心理的安全性の強化

3. ソーシャリゼーションへの配慮

・育成期においては一律テレワークではなく、対面機会を計画的に設ける工夫

4. 世代間ギャップを埋めるための工夫

・無駄な出社への同調圧力の排除

・企業レベルでテレワークに係るビジョンを策定

・組織の風通しを良くするための組織開発/コミュニケーション促進施策の実施

5. ウェルビーイングの向上

・個人単位のウェルビーイングに加え、組織による協働的なウェルビーイング

 そして提言書は、ICTで解決できるテレワークの課題が、自分の職種や業種はテレワークでは対処することができないといった先入観、テレワークを十分に経験してこなかったことによる不慣れ、ICTツールを使いこなすことができていないことなどに起因していると指摘しています。

 そして提言書は、テレワークの課題を解決する方策として、ステークホルダーを巻き込んだ形で企業の行動変容を促すことは検討に値するとし、テレワークだけではなく、BPR・DX の推進、柔軟で効率的な働き方やワークライフバランスの実現、従業員のウェルビーイングの向上、優秀な人材の確保と離職率の低下、業務継続性の確保など、他の目標も設定の上、一体的な取組として評価の対象とすることが重要としています。

 特に、最近の若年層には柔軟な働き方を可能とする職場が人気である傾向が見られることから、テレワークの推進は、企業の継続的な人材確保においても非常に有効な方策との考えも示されています。

 提言書の後半では、総務省自身におけるテレワークに向けた取組や、在宅勤務手当に関する調査が提言されています。ポストコロナに向けて我が国におけるテレワークの定着に向けた議論を行うなか、「隗より始めよ」の精神に基づき、霞が関がテレワークに率先して取り組むことは重要と指摘され、まずは、総務省(情報流通振興課)が、場合によっては専門家によるコンサルテーションの下、ICT ツールの積極的な導入などについて検討を行うべきとの記載もあります。

 提言書の「終わりに」では、タスクフォースの議論の根底には、働くことが個人やチームのウェルビーイングにつながるべきだという強い考えがある、明記されています。また、テレワークは、社員が離れた場所で働くため、個人の業務の明確化にフォーカスされがちだが、テレワークでも適切なコミュニケーションをとることで、従来の日本型の働き方の良さである「チームワーク」により、パフォーマンスを最大化していくことも可能であり、これが企業全体、社会全体の生産性の向上にも結びつく、という指摘もされています。

 提言書を読むことで、タスクフォースの各委員がテレワークに対して熱い思いを持っていることがよく伝わってきます。各委員の熱い思いが、これから現実のものとして実現していくには、これからも長い時間がかかるかもしれません。しかし、足元で進んでいるテレワークの普及は、熱い思いの実現化にとって強力な追い風になることは間違いないと思われます。

 WorkOnには、テレワークのために数多くの方がいらっしゃっており、テレワークの普及に(ほんの少しだけ)貢献できているのではないかと思っています。ただ、WorkOnの現時点での貢献は非常に小さなもので、タスクフォースの各委員が抱いているであろう熱い思いに完全にこたえられる存在になれていないのも事実です。

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