TKPが無償で貸会議室を提供、ワクチン接種はTKP貸会議室事業の救世主となり得るのか

TKPが無償で貸会議室を提供、ワクチン接種はTKP貸会議室事業の救世主となり得るのか

 貸会議室大手のティーケーピー(TKP)は6月7日、全国のTKP貸会議室134施設を職域ワクチン接種会場として最大10日間、企業に対し無償で提供することを発表しました。

 対象となる貸会議室は北海道から鹿児島県までの20都道府県にある134施設で、貸出期間は6月21日から8月31日までです。貸会議室は、1回の接種にあたり最大5日間で、2回目の接種も含めると最大10日間となります。

 現時点では、TKPが無償で提供するのは同社が運営する貸会議室のみです。医師や看護師といった医療従事者や会場運営スタッフ、ワクチンの手配、各種届出は、企業が自ら手配する必要があります。

 TKPのリリースによると、同社は今後、医療機関との連携による医療従事者の確保やワクチンの手配 とともに、TKPの会議室運営ノウハウを活かしたスタッフの確保や必要備品の準備などを「TKPワクチンセンター」(仮称)として総合的にサポートをする予定としています。

tkp_vaccine
https://www.tkp.jp/vaccine/

 TKPが無償で貸会議室を提供する狙いは、苦戦している貸会議室事業のテコ入れです。TKPの2021年2月期決算では、最終損益は35億円の赤字(前の期は17億円の黒字)と、2005年の創業以来初の赤字。売上高は21%減の431億円、営業損益は24億円の赤字(前の期は63億円の黒字)と、こちらも創業以来初の減収減益となっています。

 売上高が2割以上も減少したのは、新型コロナウイルス感染拡大により、TKPの主力事業である貸会議室の利用が低迷したためです。営業損益は、第3四半期(2020年9月~11月期)に黒字化したものの、翌第4四半期(2020年12月~2021年2月)は2回目の緊急事態宣言の発令を主因に再び赤字化しています。

 TKPは、今後、注力する事業分野としてフレキシブルオフィス事業をあげています。同社のフレキシブルオフィス事業とは、創業以来の主軸事業である貸会議室に加え、コワーキングスペース、レンタルオフィスが含まれます。

 TKPのコワーキングスペース、レンタルオフィスは、2019年に買収した日本リージャスというブランドに加え、ビジネスセンター、SPACES(スペーシス)、オープンオフィスという独自ブランドもあります。用途は、1名用のオフィスから100名超のオフィスまで幅広く、設備もビジネスレベルのWi-Fiやオフィス家具が用意されています。また日本リージャスを中心に受付スタッフによる各種サービスも提供されています。

 ただ、こうしたフレキシブルオフィス事業は、貸会議室と違い、成長ペースが緩やかです。また貸会議室は簡素な内装で問題ない一方、フレキシブルオフィス事業のうちレンタルオフィスは、共用部を豪華にしたり、フロアを細かく区切るなど内装費用が高額となります。この結果、フレキシブルオフィス事業の初期投資負担は重くなりがちで、黒字化には1年程度かかるとみられます。このためTKPとしては、貸会議室事業のテコ入れが必要となります。

tkp_business
https://www.tkp.jp/business/ep_kaigishitsu.html

 TKPは、職域ワクチン接種会場として企業に対し無償で貸会議室を提供することで、これまでアクセスできなかった企業と接触する機会が増えます。また、職域ワクチン接種会場として実際に利用してもらうことで、TKPは企業に貸会議室を内覧してもらうことになりますので、その後、貸会議室利用の提案(いわゆる営業)をすることもスムーズになると期待されます。

 一部報道によると、TKPの河野貴輝社長は「ワクチンが普及すれば貸会議室の需要は元に戻るはず。それまでの1、2年を何とかしのいでいきたい」とコメントしています。TKPが「TKPワクチンセンター」構想をリリースしたのも、ワクチン接種という確実な需要を取り込むことで、「何とかしのぐ」の一環と考えられます。

 WorkOnは、TKPのように広い貸会議室を運営しておらず、ワクチン接種会場として貢献できることは現時点ではなさそうです。ただ、ワクチン接種が進み、人々がより自由に業務をし、そのためにより自由に業務をする場所、働く場所を選べるように、WorkOnもTKPと同じように頑張っていきたいと思います。

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