鉄道会社のシェアオフィスは普及するか

鉄道会社のシェアオフィスは普及するか

 鉄道各社が、シェアオフィス・ワークスペース事業を拡大するようです。

 JR東日本は、STATION WORK(ステーションワーク)というブランドで「駅ナカ」や駅付近のシェアオフィス事業を開始しています。

 STATION WORK(ステーションワーク)には、STATION BOOTH(ステーションブース)とSTATION DESK(ステーションデスク)の2種類があります。STATION BOOTH(ステーションブース)は、いわゆる個室タイプで、幅と奥行きがそれぞれ1メートル強、高さが2.2メートル程度のボックスが、「駅ナカ」や駅改札近くに設置されています。ボックスの中には、椅子、机、電源コンセント、エアコンのほか、液晶モニター、Wi-Fiによる通信環境が用意されています。利用料金は15分250円で、事前に利用時間を予約して使います。

 STATION DESK(ステーションデスク)は、6つのタイプの席が用意されており、目的に応じて好きな席が選べます。6つのタイプは、パーティションに囲われた空間でデスクワークに集中できる「SHELTER」、適度な囲われ感とゆったり座れるソファの「CAVE」、ポケットコイルの上でリラックスして作業できる「HEAVEN」、半オープン型のソファ席「CAPSULE」、半オープン型のデスク席「DEN」、ハイカウンター型で短時間の作業に適した「PERCH」です。STATION DESK(ステーションデスク)は、フリードリンクやフォンブースも用意されており、利用料金は15分250円で、事前に利用時間を予約して使います。

 報道によると、JR東日本は、現在東京駅など約30カ所あるSTATION BOOTH(ステーションブース)やSTATION DESK(ステーションデスク)を、千葉や大宮、新浦安など乗換客が多い駅を中心に新設し、1年以内に100カ所とするそうです。新設する場所は、改札を入った駅の構内の空きスペースが候補となっているようです。

 JR東日本は、駅構内のほか、駅周辺にある系列ホテル「メッツ」のオフィス対応も進める意向です。ホテル「メッツ」のオフィスサービスは、駅構内の個室タイプに比べ広く、料金は午前8~12時は2300円です。客室にWi-Fi環境やデスクライトを備えるなどし、時間制でオフィスとして利用できるようにしています。JR東日本は、ホテル「メッツ」にてオフィスとして利用できる客室を増やす方針です。

 東京メトロは、CocoDesk(ココデスク)というブランドで個室型ワークスペースを提供しています。2020年8月現在、15駅にCocoDesk(ココデスク)が設置されています。CocoDesk(ココデスク)は、幅が1.3メートルとSTATION BOOTH(ステーションブース)より広く、奥行きは1メートル。高さは2.1メートルです。STATION BOOTH(ステーションブース)と同じように、椅子、机、電源コンセント、エアコン、液晶モニター、Wi-Fiによる通信環境などが用意されています。利用料金は15分250円で、事前に利用時間を予約して使う点もSTATION BOOTH(ステーションブース)と同じですが、2020年9月30日までは利用料金を15分250円から175円に30%割引で提供しています。東京メトロは、なるべく早く100カ所の設置を目指しているそうです。

 JR東日本や東京メトロがともにシェアオフィス・ワークスペース事業を拡大させているのは、鉄道の利用者(乗客)数が急減しているためと思われます。新型コロナウィルスの感染拡大をきっかけに、外出を自首する動きや在宅勤務が一気に普及し、鉄道を利用する需要が大きく低下しています。

 在宅勤務の普及で、労働者は通勤のために電車を使う必要が減りました。また、労働者を雇う企業側も、電車利用の頻度が少なくなったことから、交通費の支給を減らしています。日本航空やアサヒグループホールディングスなどは交通費の実費支給に切り替えたそうです。労働政策研究・研修機構の調査によると、従業員1千人以上の会社(いわゆる大企業)の34.6%が、緊急事態宣言が解除された後も在宅勤務やテレワークを続けているそうです(2020年7月現在)。

 鉄道会社がシェアオフィス・ワークスペース事業を始めたのは、外出先や取引先から勤務先に戻ることなく、駅の中で仕事を終わらせるニーズが強いと考えたためといわれています。しかし新型コロナによって、WEB会議やオンラインミーティングも普及し、労働者は外出しなくても業務ができる状況になってしまいました。

 それでも鉄道会社は、シェアオフィス・ワークスペース事業の拡大・発展に期待しているようです。新型コロナで在宅勤務やテレワークが普及したものの、通信環境の悪さや家族の存在などにより、自宅でテレワークやリモートワークをすることが難しい方も多く、自宅近くのシェアオフィス、ワークスペース、サテライトオフィスを利用する方が増えています。自宅から比較的近い郊外の駅にシェアオフィス、ワークスペース、サテライトオフィスを設置すれば、自宅で働きにくい労働者のニーズをつかむことができると判断したと報道されています。

 鉄道会社は、駅という強力なインフラを有しているだけに、シェアオフィス・ワークスペース事業でも優位に立てるとの見方があります。一方で、シェアオフィス・ワークスペース事業で求められるノウハウは、当然ですが鉄道を運営するためのノウハウとは大きく異なるため、鉄道会社が期待するほどの成功を収めないとの見方も一部にあるようです。

 鉄道会社は、現時点では、まず拠点数を増やすことでシェアオフィス・ワークスペース事業を強化する意向のようですが、拠点数の増加が一巡すれば、提供サービスの多様化によって差別化を図る必要も強まると予想されます。


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