経済

携帯電話の代理店は新しいワークスペースになりうるか

 NTTドコモは12月3日、新しい料金プラン「ahamo(アハモ)」を発表しました。アハモは、月間データ容量20GBを月額2,980円(税別)で提供する新たな料金プランで、2021年3月から提供が始まります。

 アハモの月間データ容量は20GBとなっていますが、20GBを超過した後でも最大1Mbpsの通信速度で利用ができます。国内通話は、5分間まで何度でも無料で、5分を超えると30秒ごとに20円の料金がかかります。

 アハモが、これまでのサービスと比べ料金を大幅に下げることができる理由の一つは、受け付けやサポートをオンライン限定とする点にあります。これにより、NTTドコモは、代理店に支払う契約やサポートの手数料を減らすことができ、低料金でサービスを提供できます。

 KDDIも2021年の春に、オンライン専業の仮想移動体通信事業者(MVNO)を立ち上げる予定です。こちらも、代理店での手続きを必要とせず、スマートフォンの回線情報を遠隔で書き換えられる「eSIM」を使って手続きをすると言われています。

 消費者が低料金のサービスを望めば望むほど、通信キャリアはオンラインでのサービス提供を強化するでしょう。その結果、通信キャリアは代理店を使うことが少なくなり、代理店は収益が減ることになります。

 そこでNTTドコモは、代理店に新たな収益源を与えるための試みとして「d garden」という新しいブランドの店舗を始めています。d garden は19年4月から始まり、現在6店舗。レンタサイクル、充電器レンタル、カフェ、テレワークスペースなど、通信以外のサービスを提供するほか、今月(2020年12月)からは、アプリのインストールや初期設定を1件1650円(税込み)で請け負う有料サービスも始めています。

 KDDIも20年11月、大都市に展開する直営店20店舗を「au Style」に業態転換し、「au PAYカード」「auの損害ほけん」など、KDDIが展開する非通信サービスの取り扱いを前面に打ち出しています。

 新しいワークスペースWorkOnが注目しているのは、こうした携帯電話の店舗がレンタルオフィス、シェアオフィス、バーチャルオフィス、カプセルオフィス、サテライトオフィス、ワーキングスペースなどに転換する可能性を秘めていることです。

  じつはd gardenは、目玉サービスとして次世代通信規格「5G」が使える時間貸しのコワーキングスペースを提供しています。携帯電話の契約を受け付ける店舗は、全国に8000もあるといわれています。仮に、そのうちの半分が、空きスペースを活用すれば、日本全国に一気にレンタルオフィス、シェアオフィス、バーチャルオフィス、カプセルオフィス、サテライトオフィス、ワーキングスペースが提供されることになります。

 新しいワークスペースWorkOnは、新橋駅前店に次ぐ2号店のオープンに向けて少しずつ動いていますが、2号店にとどまらず、3号店、4号店、5号店・・・と増やしていきたいと考えています。ただ、店舗を増やす過程において、携帯電話店舗と競合することも今後、起こりうるのかもしれません。

 従来型のワークスペースでもなければ、レンタルオフィス、シェアオフィス、バーチャルオフィス、カプセルオフィス、サテライトオフィス、ワーキングスペースでもない新しい働く場所として、WorkOnは、携帯電話の店舗に負けないよう努力を続ける所存です。


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