日本経済新聞は4月19日、渋谷周辺の空室率が3.5%まで低下したのに対し、晴海や汐留地区は10%以上の高水準が続くなど、東京都心の賃貸ビル市場で、地域ごとの需要回復の濃淡が出ていると報じています。
東京都心のオフィス平均空室率は、新型コロナウイルス禍に伴うオフィス解約・縮小の影響を受け1%以下から6%近くに急上昇しました。しかし同報道によると、最近は、渋谷や丸の内で底堅い動きがみられるそうです。
渋谷・原宿地区の空室率は、21年6月に6.9%まで上昇しましたが、22年2月は3.5%に低下しています。渋谷・原宿地区は、もともと国内外のIT系やスタートアップ企業のニーズが強く、19年にはグーグル日本法人が六本木から移転するなどコロナ前も集積が進んでいました。最近は、テレワークから再び出社日を増やす新興企業も目立ち、起業家の交流や最先端の情報交換の場として、渋谷・原宿の存在感が高まりつつあるようです。
たとえば最近の動きですと、動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」運営会社の日本法人などが、22年以降に渋谷・原宿地区内の大型ビルに入居します。また、渋谷駅周辺では東急グループや三菱地所、東京建物が大規模再開発を計画しています。
一方、汐留地区の空室率は高水準で推移しています。22年2月時点の空室率は23.3%と、渋谷・原宿地区の6倍以上の高さです。コロナ前は、汐留地区の注目度は高く、まとまった面積を借りるのが難しいほどでしたが、最近は大口テナントだったソフトバンクグループが退去するといった影響が残っています。
日経新聞の報道では、汐留地区には駅近くに機能面で優れた大型ビルはあるが、丸の内などと比べブランド力は劣るとの指摘も記載されています。企業は、優秀な人材獲得のため、賃料が比較的高くても、街のブランド力のある丸の内や渋谷地区で探す企業は多いという指摘もあります。
不動産サービス大手のジョーンズラングラサール(JLL)によると、都心5区の大型ビルの新規供給は、21、22年の12万~16万平方メートル台に対し、23年は57万平方メートル、25年は68万平方メートルと、再び大量となる見込みです。オフィス需要の回復基調が強まらないまま供給が増えれば、23年以降のオフィス市場が弱くなる可能性も考えられます。
WorkOnは、汐留地区に近い新橋に新橋駅前店を構えていることもあって、スタッフの一部は、たまに汐留地区にランチに出かけています。そのスタッフらによると、以前に比べて汐留地区の停滞感は強く、飲食店や小売店は、依然として閉まったままのようです。
WorkOnとしては、新橋が汐留地区に近いこともあり、汐留地区が以前のように活況になることを期待しています。しかし、新型コロナというイベントを経て、人々の意識が大きく変わったことも否定できず、汐留地区は、人々の変化に対応しきれていない部分があるのかもしれません。
WorkOnとしては、汐留地区の盛り上がりを願いながらも、周辺環境の状況に左右されず、安定的に多くのお客様からご指示いただけるよう、今後も努力を続ける所存です。