タレントマネジメントシステムを提供する株式会社カオナビの研究機関であるカオナビHRテクノロジー総研(以下、カオナビ総研)は2021年2月、リモートワーク実態調査の結果を公表しました。カオナビ総研による同調査は、2020年5月、8月に続く3回目(調査実施時期は2021年1月26日~28日)となります。同調査はインターネットによるものですが、対象者数は、自由業・社長職を除く20代~60代の有業者8,716名と、比較的、規模の大きいものとなっています。
同調査では、2021年1月8日の一都三県における緊急事態宣言発令後の就業場所への出社状況が質問されています。回答は、「毎日リモートワーク」が7.6%、「出社とリモートワークを併用」が17.0%と、リモートワークを実施している回答者は全体の24.6%となっています。一方、「毎日出社」は69.3%と約7割がリモートワークはしておらず、コロナ前と同じ出勤形態をとっていることになります。
次に一都三県の緊急事態宣言発令前の2020年12月の出社状況の質問に対する回答は、「毎日リモートワーク」が6.5%、「出社とリモートワークを併用」が14.0%と、両者合わせて20.4%となっています。緊急事態宣言発令後の1月時点のリモートワーク実施割合が24.6%でしたので、緊急事態宣言の発令によってリモートワークが増えた、ということはなかったといえそうです。
政府は2回目の緊急事態宣言の発令の際に、「出勤者の7割削減を目指す」という考えも表明していました。しかし企業の従業員ら(回答者)は、リモートワークを活用せず、結果として政府の考えを(ほとんど)無視した、ともいえます。
では、なぜ回答者の7割は、リモートワークをせず、毎日出社したのでしょうか。その理由は、非常にシンプルです。そもそも会社が、リモートワークという働き方を想定していないのです。じつは回答者の58.8%がリモートワークをしない理由として「勤めている会社にリモートワークの制度がない」と回答しています。また「上長や組織の方針上、利用していない」の回答も5.7%あります。一方、「自分の意志で利用していない」という回答は5.1%でした。
リモートワークをすることが、企業そして従業員にとって必ずしも好ましいわけではありません。しかしリモートワークという働き方が、新型コロナウイルスの感染拡大を契機に普及し、IT技術が円滑なリモートワークを可能にしているのも事実です。従業員の働き方に関する企業の考え方は、経営者によって千差万別かもしれませんが、リモートワークという働き方の可能性を認める企業であれば、制度を整備することくらいはしてもいいように思えます。
新型コロナウイルスの感染拡大は想定外の出来事といってもいいでしょうが、感染拡大から1年が経とうとしています。リモートワークという働き方が普及していることもあり、今後、企業の多くはリモートワークを可能にする制度や環境の整備を進めると期待されます。
WorkOnは、企業がリモートワークに関する制度・環境を整備し、より多くの従業員がリモートワークを選択できるようになった時に備え、これからも活動を通じてより多くの働く人々に貢献していきたいと思っています。そのためには、従来型のワークスペースでもなければ、レンタルオフィス、シェアオフィス、バーチャルオフィス、カプセルオフィス、サテライトオフィス、ワーキングスペースでもない新しい働く場所は、どんなものが好ましいかをWorkOnは常に考えるとともに、そのための努力を続ける所存です。