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2月のテレワーク実施率調査は5カ月ぶりの60%超え、それでも今後のテレワークの広がりは難しそうと考える「ワケ」とは

 3月4日に発表された2022年2月の東京都テレワーク実施率は62.7%と、前月(1月)の57.3%から5.4ポイントも上昇しました。上昇は2カ月連続となり、5カ月ぶりの60%超えです。

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https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2022/03/04/08.html

 東京都は毎月、テレワーク実施率調査の結果を公表しています。同調査は、2020年4月以降、毎月1回のペースで実施されています。調査対象は従業員30人以上の都内企業です。

 同時に発表された半日・時間単位のテレワーク(テレハーフ)の実施率は、2月に19.1%と1月の21.1%から小幅低下しています。これは、終日テレワークの割合が高まったためです。

https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2022/03/04/08.html

 2月のテレワーク実施率が上昇したのは、新型コロナウイルス感染症が東京都で急速に拡大したためと思われます。東京都は1月21日から新型コロナウイルス対策のまん延防止等重点措置を適用し、飲食店の営業時間短縮や酒類提供の停止が実施され、イベントの収容人数も制限されています。こうした社会情勢の変化を受け、企業は感染防止を目的に従業員にテレワークの実施を推奨したと考えられます。

 2月の東京都テレワーク実施率を従業員別にみると、従業員300人以上の企業(以下、大企業)は87.7%、従業員100~299人の企業(以下、中堅企業)は70.8%と、いずれも前月の78.3%、62.3%から大きく上昇しています。しかし、従業員30~99人の企業(以下、中小企業)は52.9%と、前月の50.5%から小幅上昇にとどまっています。

 一方で、テレワークを実施した社員の割合は、44.5%と前月(1月)と同じ結果となりました。

 企業規模の大きい企業ほどテレワークを実施する傾向が強いことは、以前から指摘されていたことです。中小企業が従事する業種の多くは、テレワークの活用が難しいと推察されます。

 テレワークが活用しやすい職種は、事務、システムエンジニア、プログラマー、Webデザイナー、Webライター、カスタマーサポートなどです。しかし企業規模が小さくなればなるほど、こうした職種に従事する方の割合は、大企業に比べて低くなります。

 一方、テレワークの活用が難しい職種は、生産・製造、接客・販売、医療・福祉などです。たとえば生産・製造の場合、専用の機械や設備、土地が必要で、作業を工程に分かれて大人数で実施することも多くあります。また、機械に不具合が生じれば修理をする必要もあります。接客・販売、医療・福祉は、人と接することが主な業務ですので、当然、テレワークで対応することが難しくなります。

 テレワーク実施率が高まったにもかかわらず、テレワークを実施した社員の割合が変わらなかったことは、テレワークが可能な職種では、テレワーク実施を広げることがもはや難しくなってしまったことを示唆しているのかもしれません。

 仮に東京都がさらにテレワーク実施率を高めていくには、中小企業を対象にテレワーク実施を促進する政策を推進するだけでなく、テレワークが難しいとされる職種でもテレワークが実施できるように環境や法制度を整備していくことと推察されます。

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