貸会議室大手のティーケーピー(TKP)は10月13日、2022年2月期第2四半期の連結決算を発表しました。売上高は220億円と前期(205億円)から約7%増加し、営業赤字は5億円と前期(20億円の赤字)から赤字額が大きく縮小しました。しかし最終赤字は21億円と、前期(24億円の赤字)からの縮小は小幅にとどまりました。
営業赤字は大きく縮小したものの、最終赤字の縮小幅が小幅になったのは、固定資産(のれんを含む)の減損を17.6億円計上したためです。ただ、減損の大部分は2022年2月期第1四半期に計上されたもの(17.5億円)で、第2四半期(6-8月期)にはほとんど計上されていません。
TKPは、2022年2月期第2四半期のサマリーとして、四半期で見た営業利益と経常利益が黒字化したことをアピールしています。2022年2月期第2四半期の営業利益は5億円の赤字ですが、これを第1四半期(3-5月期)と第2四半期(6-8月期)にわけると、第1四半期は8.3億円の赤字に対し、第2四半期は3.3億円の黒字です。TKPは営業利益が黒字化した理由として、前期は営業赤字要因となっていた宿泊事業でTKPが運営するアパホテルの新型コロナ軽症者用一棟貸しが進捗したことをあげています。
しかし一方でTKPは、2022年2月期の業績予想を大きく下方修正しています。2021年4月14日に公表した業績予想では、2022年2月期の売上高は480億円、営業利益は7億円の黒字としていました。しかし10月6日に予想を修正し、売上高を438億円、営業利益は19億円の赤字と大きく下方修正しています。また4月14日には公表していなかった最終損益予想を39億円の赤字(前期は35億円の赤字)と、赤字額が拡大する形で公表しています。
TKPは、Work X Officeというブランドで貸しオフィス事業をしています。以前は、Work X Officeを注力事業としてアピールしていましたが、10月14日に公表された決算説明資料では、1ページのみの紹介となっています。ちょっとさびしいですね。
https://ir.tkp.jp/news/auto_20211014410695/pdfFile.pdf
決算説明資料では、TKPの主力事業である貸会議室の状況が説明されています。2022年2月期第2四半期(6-8月期)は、貸会議室の坪当たり売上高が29,687円と、新型コロナウイルス感染症の拡大以降、最高水準を記録しています。
ただ、貸会議室の利用用途を見ると、2022年2月期第2四半期(6-8月期)は、新型コロナワクチン接種会場、ワクチンセンターとしての稼働が全体の半分(50.6%)を占めています。ワクチン接種の動きは、いずれ縮小に向かうと予想されることから、TKPとしては、会議、採用、研修といった従来型の需要が回復するか、新しい需要を見出す必要があるといえそうです。
TKPの貸会議室は、最新鋭のシステムを完備した大ホールからリーズナブルな小会議室まであり、イベント、展示会、国際会議、コンペティション、パーティー、記念式典、学会、株主総会といった大規模の用途から、社内会議、社員研修。入社式、内定式、採用面接、会社説明会、ミーティング、定例会議、朝礼、勉強会、緊急会議、分科会といった小規模まで想定されています。
TKPのコワーキングスペース、レンタルオフィスは、2019年に買収した日本リージャスというブランドに加え、ビジネスセンター、SPACES(スペーシス)、オープンオフィスという独自ブランドもあります。用途は、1名用のオフィスから100名超のオフィスまで幅広く、設備もビジネスレベルのWi-Fiやオフィス家具が用意されています。また日本リージャスを中心に受付スタッフによる各種サービスも提供されています。
TKPによると、コワーキングスペース、レンタルオフィスでの幅広いサービスにより、起業・独立、オフィス拡張、国内支店・営業所開設、グローバルビジネス対応、海外拠点開設、プロジェクトオフィス、業務改革、テレワーク推進も可能となります。
TKPは10月13日に日本経済新聞社との業務提携を公表しています。日本経済新聞社は、OFFICE PASSというシェアオフィスサービスを運営しています。OFFICE PASSは、予約なしでいつでも使えるサービスで、空席のあるシェアオフィスに行き、受付でQRコードを提示するだけで使えるサービスです。全国約300カ所のシェアオフィスと提携しており、首都圏だけでなく北海道から沖縄までサービスが利用できる体制となっています。
TKPが日本経済新聞社との提携したことで、TKPが運営する貸会議室やRegus(リージャス)のレンタルオフィスやシェアオフィスがOFFICE PASSのネットワークに加わることになります。今回の業務提携により、TKPは施設稼働率の向上が、日本経済新聞社はOFFICE PASSの会員増がそれぞれ期待されます。
OFFICE PASSは、予約不要、空席を利用する、受付でQRコードを提示するなど、WorkOnと類似した部分が多くあります。またWorkOnが、新橋と町田の2拠点しかないのに比べ、OFFICE PASSは全国約300カ所もあります。このOFFICE PASSにTKPの貸会議室やRegusが加わるわけですから、WorkOnとの拠点数格差はさらに広がります。
ただWorkOnは、日本経済新聞社と比べられるレベルと言い難く、OFFICE PASSが頑張っているようにWorkOnも利用者の皆様が快適に過ごせるよう頑張ります。
新しいワークスペースWorkOnは、従来型のワークスペースでもなければ、レンタルオフィス、シェアオフィス、バーチャルオフィス、カプセルオフィス、サテライトオフィス、ワーキングスペースでもない働く場所として、そして従来型の貸し会議室、ミーティングルーム、サロン、スタジオ、イベントスペースとは違う予約ルームという形式で、これからも皆様に貢献できるよう努力を続ける所存です。