日本生産性本部は1月27日、新型コロナウイルス感染症が組織で働く人の意識に及ぼす影響の継続調査(働く人の意識調査)の結果を公表しました。本調査は、組織で働く雇用者を対象に、勤め先への信頼度や雇用・働き方に対する考え方などについて、2020年5月以降、四半期毎にアンケートにより実施しているものです。
8回目となる今回は、新しい変異株・オミクロンによる感染が急拡大する第6波の渦中で、まん延防止等重点措置が3県で適用され、13都県で適用される直前の1月17日(月)~18日(火)の2日間に、20歳以上の雇用者1,100名を対象にインターネットによって実施されました。
調査では、以下のように幅広いテーマが対象となっています。
◆2022年1月現在の状況
わが国の景況感、社会経済システムの信頼性、感染不安と外出自粛、労働時間等の変化
◆働く人の意識の変化
勤め先への信頼感、ワークシェアリングと兼業・副業、メンバーシップ型・ジョブ型とキャリアプラン、Off-JT、OJTの実施状況、自己啓発の実施状況、
◆働き方の変化
柔軟な働き方、テレワークの課題、収束後の未来像
◆トピックス:サーキュラーエコノミー(CE)
以下では、サテライトオフィス等での勤務、テレワーク、モバイルワークの実施状況に関する「柔軟な働き方」の調査結果をご紹介します。
「現在、あなた自身が行っている働き方をいくつでも選んで下さい」(複数回答)という設問では、以下の選択肢が示されています。
時差出勤
短時間勤務
一時帰休
自宅での勤務
サテライトオフィス、テレワークセンター等の特定の施設での勤務
モバイルワーク(特定の施設ではなく、カフェ、公園など一般的な場所を利用した勤務)
特にない
前回(2021年10月)の調査から回答率が低下したのは、時差出勤(15.1%→11.7%)、短時間勤務(13.5%→7.5%)、自宅での勤務(19.8%→15.4%)、サテライトオフィス等での勤務(3.8%→3.3%)、モバイルワーク(3.8%→3.3%)でした。一方、上昇したのは、一時帰休(2.6%→3.5%)、特にない(60.5%→66.5%)でした。
東京五輪前後に過去最大の新規感染者を出した第 5 波は、2021年10 月初旬には概ね沈静化し、2021年末まで新規感染者数は、大きく増加しませんでした。
こうした状況のもと、回答結果を見ると、企業は新型コロナウイルス感染対策としての柔軟な働き方を改め、従来の働き方に戻しつつあるといえそうです。
次に、「自宅での勤務」、「サテライトオフィス、テレワークセンター等の特定の施設での勤務」、「モバイルワーク」の3つを総称して「テレワーク」とし、調査対象全体に対する「テレワーク」の実施率(テレワーク実施率)を確認すると、テレワーク実施率は18.5%と、前回10月調査の 22.7%から低下し、過去最低を更新しました。
テレワーク実施率は2020年5月に 31.5%の過去最高を記録した後、20%前後で推移してきました。日本生産性本部の考察によると、テレワーク実施率が高まらない理由は、従業員規模 100 名以下の企業のテレワーク実施率が10%台と低く、従業員規模が大きくなりにつれてテレワーク実施率が高まる「格差」の存在だそうです。従業員規模とテレワーク実施率が正の相関関係にあることは、東京都のテレワーク実施率調査でも示されています。
12月のテレワーク実施率調査、3カ月連続で横ばい
https://workon.biz/blog/post-1659/
日本では、中小企業の雇用者が6~7 割と多数を占めるため、中小企業のテレワークが拡大しないと全体のテレワーク実施率も上昇しないといえそうです。
興味深いのは、回答者の地域別に見た結果です。大企業の本社機能が集中する首都圏(1都3県)のテレワーク実施率は、26.8%と前回10月調査(36.9%)から10.1ポイント低下したのに対し、その他地域では12.9%と前回(14.2%)から1.3ポイントの低下にとどまりました。
職種別にみた結果も興味深いものとなっています。これまでテレワーク実施率の高かった「管理的な仕事」「専門的・技術的な仕事」「事務的な仕事」の変化をみると、「専門的・技術的な仕事」は前回10月調査から微増したのに対し、「管理的な仕事」は10ポイント弱、「事務的な仕事」は10ポイント以上低下しました。
一方、在宅勤務の満足度は高いままです。在宅勤務に「満足している」「どちらかと言えば満足している」割合は、2021年4月調査以降、微減していましたが、今回は77.5%と前回10月調査の66.1%から大きく上昇し、過去最多を更新しました。
テレワークの実施率が低下する一方で、テレワーカーが感じる満足度は好転しているといえ、現在のテレワーカーは、よりテレワークに適した環境・仕組みを構築している企業に属し、中でもテレワーク向きの業務をしている雇用者が中心になっていると考えられます。
テレワーク実施率が低下したという調査結果は、WorkOnにとって残念なことなのかもしれませんが、WorkOnは、テレワークという働き方が一過性のものではなく、今後も普及していくと確信しています。それは、日本(そして世界)の産業構造やITが変化する中、これまで不通とされてきたオフィスで仕事をする形態の不合理性が高まっているからです。WorkOnは(ちょっと長い目で考えれば)テレワークの実施率はさらに上がっていくのではないかと考えています。
そしてWorkOnは、テレワークがオフィス勤務の代替となりえて、人々がテレワーク、オフィス勤務どちらを選んでも、問題なく業務をすることができる状況を迎えると信じています。
そんな状況に近づくためにも、WorkOnは、利用者の声を丹念に拾い上げながら日々努力を続け、多くの利用者に愛される存在になりたいと考えています。