新型コロナをきっかけにテレワークが普及・定着するとともに、テレワークのデメリットも徐々に共有されるようになってきたようです。
日経BP総合研究所イノベーションICTラボは、日経BPのデジタルメディアの読者・会員を対象に、テレワークの利用状況やテレワークの課題などについてアンケート調査を実施しました。調査期間は2020年10月14~30日ですので、同調査の結果は、テレワークに関する人々の現時点での考えを示したものと考えられます。
同調査では、テレワークの利用頻度が質問されています。回答結果は以下の通りです。
テレワークの利用頻度(割合は回答者全体に対する比率、n=296)
週5日以上:20.6%
週3~4日:21.3%
週1~2日:20.6%
月1~2日:6.4%
毎週必ずテレワークをしている人は全体の62.5%となり、月1回でもテレワークをしている人を含めると全体の約7割(68.9%)が、現時点でもテレワークを実施していることになります。
この調査に回答した方は、日経BPのデジタルメディアの読者・会員ですので、PCを使った業務に従事している方が多数であると推測されます。とはいえ、緊急事態宣言が発出された4月から半年を経過しているにもかかわらず、6~7割程度の方がテレワークを続けていることを考えると、テレワークはかなり定着した働き方になったといえそうです。
一方で、人々は、テレワークだけで働くのではなく、オフィスに出社することも組み合わせて働く傾向が強まっていることもわかっています。日経BPが4月に実施した類似調査での結果を比較すると、週3日以上テレワークをする人の割合(41.9%)は、4月調査時点から22ポイント減っています。自宅だけ、オフィスだけ、といった二元論的な働き方ではなく、自宅でもオフィスでも、というハイブリッド的な働き方も普及しつつあるように思えます。
日経BPの調査では、テレワークのデメリットも質問されています。回答結果は以下の通りです。
テレワークの課題(割合は回答者全体に対する比率、n=204)
同僚(上司・部下を含む)とのコミュニケーションに支障がある:48.0%
ずっと自宅にいると、心身を仕事モードに切り替えにくい:36.3%
書類を取り扱う業務(押印、決裁、発送、受領等)ができない:31.4%
取引先や顧客とのコミュニケーションに支障がある:20.6%
テレワークゆえに、他者とのコミュニケーションに支障があるのは予想されることですが、取引先や顧客とのコミュニケーションよりも、同僚とのコミュニケーションに支障があるとの回答が多いのは興味深い点と思われます。
この結果は、おそらく、取引先や顧客とのコミュニケーションは、ある程度、予想ができる内容・方法が多い一方で、同僚とのコミュニケーションには、予想できない内容・方法が多いためではないかと思われます。
テレワークにて使われる各種ツールは、事前に予想できる内容に対応するよう洗練・改良されています。また、テレワークで働く人も、事前に予想できる内容であれば、過去の経験を使い、従来と変わらない形でコミュニケーションをとることも難しくないように思えます。
一方、事前に予想ができない内容や方法が含まれる同僚とのコミュニケーションでは、テレワークでカバーしきれないことがあるのも予想できることです。同僚との会話で「ところで」、「そういえば」といった接続詞、副詞がつくことは多々ありますし、業務との関連性が薄いことが話題となることも珍しくありません。ITが(いわゆる)非定型な業務を苦手とする以上、テレワークが同僚とのコミュニケーションと相性が良くないのも無理はありません。
テレワークだけでなくオフィスへの出社も組み合わせるスタイルが普及しつつあるのも、
同僚とのコミュニケーション、という大事なことを維持・円滑にするために、働く人々が(意識しているのか無意識なのかはわかりませんが)選び出した働き方といえそうです。
ご存じのように我々WorkOnは、自宅でもオフィスでもない第三の場所(ワークスペース、レンタルオフィス、シェアオフィス、バーチャルオフィス、カプセルオフィス、サテライトオフィス、ワーキングスペース)ですので、日経BPによる調査と直接、関係ないように思えるかもしれません。
しかし自宅、オフィスを使い分ける働き方が増えると同時に、自宅でもなくオフィスでもない場所で働く、という新しい選択肢も増えつつあるように感じます。新しいワークスペースWorkOnは、従来型のワークスペースでもなければ、レンタルオフィス、シェアオフィス、バーチャルオフィス、カプセルオフィス、サテライトオフィス、ワーキングスペースでもない働く場所として、これからも皆様に貢献できるよう努力を続ける所存です。