東急バスは2021年2月16日、田園都市線のたまプラーザ駅などと渋谷駅、東京駅を結ぶシェアオフィスバス「Satellite Biz Liner(サテライトビズライナー)」の実証運行を始めました。サテライトビズライナーは、2月16日から4月28日までの平日に運行されます。
サテライトビズライナーは、バス車内で仕事をしながら目的地まで過ごす「動くシェアオフィス」をコンセプトとした新しい移動手段です。東急バスは、プレスリリースの中で、乗車と同時に仕事ができれば、通勤時間が就業時間となり、朝と夕方は時間にゆとりが生まれるとの考えを示しています。
サテライトビズライナーは、以下スケジュールで運行されます。
(朝)
8:20 新羽営業所
8:45 市が尾駅(乗車専用)
9:05 たまプラーザ駅(乗車専用)
10:15 渋谷駅(降車専用)
10:45 東京駅南口(終点)
(夕方)
16:25 東京駅南口
17:05 渋谷駅(乗車専用)
17:35 たまプラーザ駅(降車専用)
17:55 市が尾駅(降車専用)
18:25 新羽営業所(終点)
サテライトビズライナーの運賃は、以下の通りです。
〇たまプラーザ駅乗車の場合
渋谷駅:1,000円
東京駅南口:1,400円
〇市が尾駅乗車の場合
渋谷駅:1,200円
東京駅南口:1,600円
〇新羽営業所乗車の場合
渋谷駅:1,900円
東京駅南口:2,300円
サテライトビズライナーを利用するには事前に予約する必要があり、座席の指定はありません。予約は、朝便が7 日前から当日の8:20 まで、夕方便は7 日前から16:25 までできます。
サテライトビズライナーは38人乗りで、車内にはUSB充電ポート、Wi-Fi、化粧室のほか、株式会社ウェブシャークが展開する Yogibo の「Traybo(トレイボー)2.0」が18台用意されています。Traybo2.0は、竹のテーブルとクッションでできた製品で、クッション部分を膝の上に置くと、テーブルがパソコン台となり、テーブルの上でノートPCやタブレットを利用することができます。また、東急株式会社が実験しているスマホサービス「DENTO(デント)」からチケットを購入すると、運賃が100円割り引かれるほか、特別価格でコーヒーが購入できます。
東急バスは、サテライトビズライナーのプレスリリースで、サテライトビズライナーの意義を以下のようにPRしています。
リモートワークが急速に普及しつつありますが、対面での業務が必要な場面は依然として存在しています。本サービスはこうした出勤が必要な場面において、鉄道の混雑時間帯を避けつつ、通勤時間を有効に活用する、Withコロナの新しい通勤スタイルをご提案するものです。
東急バスだけでなく、他バス会社や電鉄会社は、テレワークや在宅勤務の普及で売り上げの減少に苦しんでいます。東急電鉄の4~12月の通勤定期収入は、前年同期比31.6%も減少しています。売り上げの減少をカバーすべく、既存のリソースを使って新しい事業を模索するのは営利企業として自然のことと思われます。
すでに東急グループは、定期券所持者を対象に相乗りのハイヤーや、電車やバスの乗り放題券をデントにて割引価格で提供しています。サテライトビズライナーは、デントにおける新しいサービスと位置付けられ、デントを使って定期券の継続購入を促し、沿線の移動・消費需要を喚起したいと思われます。
WorkOnは、バス会社でも電鉄会社でもないので、サテライトビズライナーと同じサービスを早期に始めることは(おそらく)ないでしょう。ただ、働く方々のために、快適な環境を提供し、生活時間の効率化を図るという考えは、WorkOnとサテライトビズライナーは共有していると思われ、WorkOnは東急バスの新しい試みにエールを送りたいと思っています。
東急バスの新しい試みによって、シェアオフィス(バス)だけでなく、レンタルオフィス、バーチャルオフィス、カプセルオフィス、サテライトオフィス、ワーキングスペースといった新しい「働く場所」に関する認知が、より多くの人々に広まれば、東急バスだけでなくWorkOnにとって好ましいことと言えそうです。
シェアオフィス、レンタルオフィス、バーチャルオフィス、カプセルオフィス、サテライトオフィス、ワーキングスペースなど、数多くの名称があるように、WorkOnに類似したサービスは、細かく見るとそれぞれ特徴が異なります。WorkOnは、あくまでWorkOnとして、WorkOnというサービスをより多くの方々にご認識いただき、従来型のワークスペースでもなければ、レンタルオフィス、シェアオフィス、バーチャルオフィス、カプセルオフィス、サテライトオフィス、ワーキングスペースでもない新しい働く場所として努力を続ける所存です。