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営業赤字が縮小したTKP、3回目のワクチン接種の動き拡大は追い風となるか

 貸会議室大手のティーケーピー(TKP)は1月14日、2022年2月期第3四半期(3-11月期)の連結決算を発表しました。売上高は329億円と前期(322億円)から約2%増加し、営業赤字は11億円と前期(19億円の赤字)から縮小しました。しかし最終赤字は29.3億円と、前期(28.6億円の赤字)から小幅増加しました。

 前期に比べ、営業赤字が縮小したものの、最終赤字が小幅ながらも増加したのは、固定資産(のれんを含む)の減損を18.7億円計上したためです。ただ、減損の大部分は2022年2月期第1四半期に計上されたもの(17.5億円)で、第2四半期(6-8月期)、第3四半期(9-11月期)にはほとんど計上されていません。

 TKPは、TKP単体が2四半期連続で営業黒字を確保したことを強調しています。2022年2月期第2四半期におけるTKP単体の営業利益は、第1四半期(3-5月期)こそ4.9億円の赤字でしたが、第2四半期(6-8月期)は5.6億円の黒字、第3四半期(9-11月期)は0.2億円の黒字となりました。

 TKP単体の営業黒字が続いた理由として、固定費の削減効果に加え、売上高の増加があったとTKPは指摘します。貸会議室事業の受注は、昨年10月以降、徐々に回復しているようで、2022年4月に実施される社員研修を中心に、対面イベントの需要が戻っており、翌期売上計上予定の受注額も順調に積み上がっているとTKPは説明しています。

3Qresult_TKP
https://ir.tkp.jp/ja/index.html

 ただTKP単体の先行きは、楽観視できません。TKP単体の主事業である貸会議室事業のKPI(重要業績評価指標)である坪あたり売上高は、新型コロナウイルス感染症の収束期待が見られた前年同期と比較して2,513円減少し、24,141円となっています。TKPは、坪あたり売上高が今後徐々に回復する見込みとしていますが、新型コロナ感染第6波が拡大をしているだけに、回復を見込むべきかは、意見が分かれるようにも思えます。

 貸会議室の利用用途を見ると、新型コロナワクチン接種会場、ワクチンセンターとしての利用の割合が、2022年2月期第2四半期(6-8月期)の50.6%から2022年2月期第3四半期(9-11月期)に29.3%へと低下しています。この結果、2022年2月期第3四半期(9-11月期)の売上高は59.7億円と、前期(68.6億円)や前年同期(68.9億円)から減少しています。

 3回目のワクチン接種の動きが広がることで、ワクチン接種会場の利用が再び増え、貸会議室の売上高が増えることが期待されるものの、TKPとしては、ワクチン接種の動きが一巡する前に、会議、採用、研修といった従来型の需要が回復するか、新しい需要を見出す必要があるといえそうです。

 TKPの貸会議室は、最新鋭のシステムを完備した大ホールからリーズナブルな小会議室まであり、イベント、展示会、国際会議、コンペティション、パーティー、記念式典、学会、株主総会といった大規模の用途から、社内会議、社員研修。入社式、内定式、採用面接、会社説明会、ミーティング、定例会議、朝礼、勉強会、緊急会議、分科会といった小規模まで想定されています。

 TKPのコワーキングスペース、レンタルオフィスは、2019年に買収した日本リージャスというブランドに加え、ビジネスセンター、SPACES(スペーシス)、オープンオフィスという独自ブランドもあります。用途は、1名用のオフィスから100名超のオフィスまで幅広く、設備もビジネスレベルのWi-Fiやオフィス家具が用意されています。また日本リージャスを中心に受付スタッフによる各種サービスも提供されています。

 TKPによると、コワーキングスペース、レンタルオフィスでの幅広いサービスにより、起業・独立、オフィス拡張、国内支店・営業所開設、グローバルビジネス対応、海外拠点開設、プロジェクトオフィス、業務改革、テレワーク推進も可能となります。

 TKPは昨年12月から、日本経済新聞社が運営するOFFICE PASSというシェアオフィスサービスと提携をしています。OFFICE PASSは、予約なしでいつでも使えるサービスで、空席のあるシェアオフィスに行き、受付でQRコードを提示するだけで使えるサービスです。全国約300カ所のシェアオフィスと提携しており、首都圏だけでなく北海道から沖縄までサービスが利用できる体制となっています。

 TKPはOFFICE PASSとの提携により、TKPが運営する貸会議室やRegus(リージャス)のレンタルオフィスやシェアオフィスがOFFICE PASSのネットワークに加わることになります。今回の業務提携により、TKPは施設稼働率の向上が、日本経済新聞社はOFFICE PASSの会員増がそれぞれ期待されます。

 OFFICE PASSは、予約不要、空席を利用する、受付でQRコードを提示するなど、WorkOnと類似した部分が多くあります。またWorkOnが、新橋と町田の2拠点しかないのに比べ、OFFICE PASSは全国約300カ所もあります。このOFFICE PASSにTKPの貸会議室やRegusが加わるわけですから、WorkOnとの拠点数格差はさらに広がります。

 ただWorkOnは、日本経済新聞社と比べられるレベルと言い難く、OFFICE PASSが頑張っているようにWorkOnも利用者の皆様が快適に過ごせるよう頑張ります。

 新しいワークスペースWorkOnは、従来型のワークスペースでもなければ、レンタルオフィス、シェアオフィス、バーチャルオフィス、カプセルオフィス、サテライトオフィス、ワーキングスペースでもない働く場所として、そして従来型の貸し会議室、ミーティングルーム、サロン、スタジオ、イベントスペースとは違う予約ルームという形式で、これからも皆様に貢献できるよう努力を続ける所存です。



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