働き方

新型コロナウイルスで増えた可処分時間の使い方

 新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに外出を控える行動が定着しつつあります。在宅勤務やテレワークなど、外出せずに仕事をするスタイルは広く普及しました。食事やお酒を飲みながら大人数で会話をすることは、感染防止の観点から控える風潮が強まり、自宅で食事を済ませる傾向は強まっています。

 外出を控える行動が定着したことで、貸会議室やシェアオフィスの需要は大きく減りました。貸会議室大手で東証一部に上場する株式会社ティーケーピー(TKP)の2020年3~5月期決算説明資料によると、TKP本体(グループ連結数値から日本リージャス社および台湾リージャス社の数値を除いたもの)の売上高は56.9億円と、前年同期の104.1億円から45.3%も減少しています。レンタルオフィスやコワーキングスペースといった業態でも、同じように売り上げが大きく落ち込んでいると思われます。

 外出を控えることで、自由に使える時間(可処分時間)が増えたという指摘もあります。在宅勤務やテレワークによって通勤時間がゼロとなったのは、わかりやすい一例です。夜の会食(いわゆる飲み会)がなくなったことで、睡眠時間が増えたという話もあるようです。

 厚生労働省が公表する毎月勤労統計によると、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、現金給与総額(いわゆる月給)は、4月、5月と前の年に比べ2%以上減っています。ボーナスの削減に加え、残業が大きく減ったことが、大きく影響しています。

 月給が減ることは大変悲しいことですが、残業代が減ったということは労働時間が減ったことも意味します。毎月勤労統計は、賃金だけでなく労働時間も調査されており、4月、5月の総労働時間(所定内労働時間と所定外(残業)時間の合計)は、前の年から9%以上も減っています。

 自由に使える時間(可処分時間)が増えたためか、時間を使った娯楽の需要が高まっています。大手マンガアプリや有料動画サービスは、今年(2020年)4月以降、前年の2倍超の売り上げを記録しています。総務省が公表する消費者物価指数(CPI)によると、マンガアプリや有料動画配信などを意味するウェブコンテンツ利用料は、6月に前年同月比2.7%上昇し、需要が高まっていることを示唆しています。

 ただ、増えた可処分時間は、必ずしも娯楽に費やされるわけではないでしょう。これまで睡眠不足気味だった方は、増えた可処分時間を睡眠にあてることで健康な体を取り戻しているかもしれません。増えた可処分時間を家族との交流に使い、よりよい家族関係を構築できる方もいらっしゃると思います。増えた可処分時間を学びに費やす方もいるでしょう。

 新型コロナウイルスの感染拡大で所得が減ってしまったものの、自由に使える時間が増えた方の一部は、他の仕事をすることで減った所得を補おうとしているかもしれません。いわゆる副業です。これまでの副業は、比較的能力や意欲が高い方に限られたものだったかもしれませんが、これからは、一つの仕事をするのではなく複数の仕事をこなす方が増えていくように思えます。

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