学生寮・社員寮「ドーミー」、ビジネスホテル「ドーミーイン」、リゾートホテル「共立リゾート」など、様々な宿泊施設を運営する共立メンテナンスは、2021年3月20日に大規模シェアハウス「URBAN TERRACE亀有」を東京都足立区に、「URBAN TERRACE中野島」を神奈川県川崎市にオープンすることを公表しました。
URBAN TERRACEシリーズは、大型シェアハウスの形態で、関東エリアに6カ所展開されています。URBAN TERRACEシリーズは、大人の寛ぎの場をコンセプトに、お洒落なラウンジや充実した共用スペースが完備されています。
今回、URBAN TERRACE亀有とURBAN TERRACE中野島の2棟をオープンするにあたり、共立メンテナンスは、株式会社シェア180と業務委託契約を締結し、同社が企画・運営をサポートすることになっています。
URBAN TERRACE亀有とURBAN TERRACE中野島の特徴は、ワークスペースが設置されていることです。URBAN TERRACE亀有では、気兼ねなくオンライン会議などができる個別ワークスペースや畳敷きの寛ぎスペースが用意されています。URBAN TERRACE中野島にもワークスペースが用意されており、開放的なキッチンやフィットネスルームなどの設備も導入されています。
共立メンテナンスは、URBAN TERRACE亀有やURBAN TERRACE中野島でワークスペースを用意した理由として、在宅ワークやオンライン授業の増加に対応するため、と説明しています。シェアハウスの場合、居住する部屋が狭い傾向にあり、部屋と部屋の距離が短いことから、在宅ワーク・リモートワークやオンライン授業での音声が周囲の住民に聞こえてしまう恐れがあります。この結果、在宅ワーク・リモートワークやオンライン授業をすることに利用者が躊躇してしまい、利用者の使い勝手が悪い印象を与えかねないのかもしれません。
そこで共立メンテナンスは、増加している在宅ワーク・リモートワークやオンライン授業に対応した施設(ワークスペース)を別途、用意することで、新型コロナウイルスをきっかけに始まった新しい生活様式に対応しようとしていると思われます。
共立メンテナンスは1979年に設立し、企業の給食受託業務から事業を開始しました。その後、学生寮、社員寮を運営する寮事業を、さらに、ビジネスホテル・リゾートホテルを運営するホテル事業へと、事業領域の拡大を図りながら成長を遂げてきました。
ただ、共立メンテナンスもコロナ禍で業績悪化が目立っています。共立メンテナンスの2021年3月期の第3四半期決算によると、売上高は前年比31.4%減と大きく減らしており、当期純利益は76.5億円の赤字となっています。
売上高を事業セグメント別にみると、寮事業が減収となり、ホテル事業は回復しているものの前年比で二桁以上の減少のままです。共立メンテナンスは、寮事業を中心に業績が非常に安定している企業として知られていましたが、さすがの共立メンテナンスでもコロナ禍では苦戦しているといえそうです。
そこで、共立メンテナンスは、コロナ禍での施策として以下施策に着手しています。
・無利子貸し付けで学生様の経済的負担を軽減する「新型コロナウイルス就学支援プログラム」を学生様向けに開始
・自宅からリゾートへ直幸往復便(タクシー会社と共同開発した往復送迎付き宿泊プラン)
・新型コロナウイルス感染防止対策として
〇泊まれるオフィス:テレワーク用オフィス
(温泉・サウナ・Wi-Fi・夜鳴きそば、お食事付きの快適なオフィス空間を提供)
〇住むホテル:⾧期滞在型プラン
(ホテルの快適さに加え暮らしに必要な内装をカスタマイズ)
今後、共立メンテナンスは、URBAN TERRACEシリーズでワークスペースの充実を続けるほか、同社の泊まれるオフィスシリーズ(テレワーク用オフィス)の展開を加速させるかもしれません。これは、共立メンテナンスが、新しいワークスペースを提供するWorkOnの強力(そして巨大)なライバルになることをも意味します。
共立メンテナンスが、テレワーク用オフィス事業を中心としたワーキングスペース事業を広げることで、自宅、オフィスを使い分ける働き方や、自宅でもなくオフィスでもない場所で働く、という新しい選択肢を認識する人が増える可能性も期待されます。新しいワークスペースWorkOnは、従来型のワークスペースでもなければ、レンタルオフィス、シェアオフィス、バーチャルオフィス、カプセルオフィス、サテライトオフィス、ワーキングスペースでもない働く場所として、これからも皆様に貢献できるよう努力を続ける所存です。